2026年8月12日
ジェイファーマ株式会社
ジェイファーマ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:吉武益広、以下「当社」)は、進行性胆道がん患者を対象としたナンブランラト(開発コード:JPH203)の国内第1相および第2相臨床試験データを用いた事後解析論文が、査読付き学術誌「Cancers」に掲載されたことをお知らせいたします。
本論文は、これまでの臨床試験データを用いた曝露–反応(exposure–response)解析やサブグループ解析を通じて、今後の臨床開発で前向きに検証すべき科学的仮説を整理したものです。本解析は探索的なものであり、特定の患者群における有効性や患者選択基準を確立するものではありませんが、得られた知見は、現在実施中のグローバル第3相臨床試験(Beacon-BTC)で前向きに検証する科学的仮説として位置付けられています。

本論文の位置付けとグローバル第3相臨床試験(Beacon-BTC)への展開
Beacon-BTCは、一次標準治療が無効または不耐となった、治癒切除不能な進行・再発胆道がん患者を対象とするグローバル第3相臨床試験です。複数のナンブランラト投与レジメンと担当医が選択する治療を無作為化して比較し、全生存期間(OS)を主要評価項目として、有効性および安全性、忍容性及び薬物動態を総合的に評価します。
本論文で整理された科学的仮説をBeacon-BTCで前向きに検証することにより、ナンブランラトの治療効果を適切に評価し、承認申請に必要なエビデンスの構築を目指します。
当社代表取締役社長 吉武益広のコメント
「これまでの臨床試験データから得られた探索的知見が、査読論文として公表されたことを大変意義深く受け止めています。本論文は、ナンブランラトの臨床的価値を検討する上で重要な科学的示唆を提供するものであり、現在実施中のグローバル第3相臨床試験(Beacon-BTC)を通じて、その有効性および安全性を適切に評価してまいります。
当社は、本論文の公表を研究者および医療関係者への情報提供や事業提携の検討にも活用し、ナンブランラトを新たな治療選択肢として患者に一日でも早く届けることを目指してまいります。」
■掲載論文の概要
掲載誌:Cancers
論文名:Clinical and LAT1 Biomarker Correlates of Clinical Benefit from Nanvuranlat (JPH203) in Advanced Biliary Tract Cancer: A Post Hoc Analysis
著者:Eric K. Rowinsky, Ghassan K. Abou-Alfa, Junji Furuse, Makoto Ueno, Masafumi Ikeda, Hiroko Tabuchi, Kazuo Sekiguchi, Michael Szarek
書誌情報:Cancers 2026, 18(15), 2492
DOI:10.3390/cancers18152492
論文URL:https://www.mdpi.com/2072-6694/18/15/2492
【ナンブランラトについて】
ナンブランラト(開発コード:JPH203)は、当社が新規創製したLAT1選択的阻害剤であり、同作用機序の薬剤として世界で初めて臨床開発が進められている低分子化合物です。LAT1(L-type amino acid transporter 1、L型アミノ酸トランスポーター1)は、細胞内へのアミノ酸取り込みに関与するトランスポーターの一つであり、多くのがん細胞で高発現していることが知られています。医薬品として承認された場合、ファースト・イン・クラス(疾患に対して新しい作用機序で初めて承認に至る医薬品)の新薬となる可能性があります。当社は2015年より複数の固形がんを対象とした第1相臨床試験を実施し、その成果を踏まえ、進行性胆道がん治療への適応可能性を見出しました。2018年からは進行性胆道がんを対象とした第2相臨床試験を実施し、PFSについてプラセボ群と比較して有意な改善と良好な安全性を確認しました。
また、ナンブランラトは2022年4月に米国食品医薬品局(FDA)よりオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)指定を受け、2024年9月25日にはナンブランラトのがん患者様を対象とする臨床試験に関するInvestigational New Drug(IND)申請が受理されました。さらに、2025年5月には、商業製造スケールにおけるCMC(化学・製造・品質管理)が、FDAの要求する品質基準を満たしていることが確認されました。これらの進展を踏まえ、当社は2025年12月にグローバル第3相臨床試験を開始し、現在、試験を実施しています。
ナンブランラト国内第2相試験の結果に関する論文
Furuse et al. A Phase II Placebo-Controlled Study of the Effect and Safety of Nanvuranlat in Patients with Advanced Biliary Tract Cancers Previously Treated by Systemic Chemotherapy. Clin Cancer Res. 2024; 30(18):3990-3995. https://doi.org/10.1158/1078-0432.CCR-24-0461
【ナンブランラト(JPH203)と免疫チェックポイント阻害剤(ICI)の非臨床での併用効果】
がん免疫療法に抵抗性を示す4T1同系マウス移植モデルにおいて、ナンブランラトとICI抗体との併用効果が検証されました。その結果、ナンブランラトとICI抗体の併用投与により、各単剤投与と比較して有意な抗腫瘍効果の増強が確認されました。
また、併用によりCD4+および CD8+腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の増加、ならびに抗腫瘍免疫抑制に関与するFoxP3陽性CD4+ T細胞の減少が認められました [1, 2, 3]。
さらに、M1/M2マクロファージ比の上昇およびがん関連線維芽細胞(CAF)の蓄積抑制も確認されており[3]、ナンブランラトとICI抗体との併用により腫瘍免疫微小環境の改善が示唆されています。
- Zhao X, Pu C, Liu K, Liu Z. LAT1 inhibition remodels the tumor immune microenvironment and enhances anti-PD-1 therapy in triple-negative breast cancer. Amino Acids. 2025;57(1):27. https://doi.org/10.1007/s00726-025-03456-3
- Huang R et al. Targeting glutamine metabolic reprogramming of SLC7A5 enhances the efficacy of anti-PD-1 in triple-negative breast cancer. Front Immunol. 2023, 14:1251643. https://doi.org/10.3389/fimmu.2023.1251643<
- Nanvuranlat Investigator’s Brochure version 10.0, September 2025
【関連情報】
・ナンブランラトと胆道がん
https://www.j-pharma.com/clinical_trial/biliary_tract_cancer_p3/
・ナンブランラトと免疫チェックポイント阻害剤の併用を検証する医師主導臨床試験の詳細(jRCT)
https://jrct.mhlw.go.jp/latest-detail/jRCT2031260086
・ナンブランラト作用機序動画
https://www.j-pharma.com/assets/video/251209.mp4
【ジェイファーマ株式会社について】
当社は、「SLCトランスポーターの新たな可能性を追求し、アンメット・メディカル・ニーズに応える革新的新薬の開発を通じて、世界中の人々が健康を維持し、希望を持ち続けることに貢献する」を企業理念としています。この理念のもと、SLCトランスポーターのひとつで創業者が発見したLAT1(L型アミノ酸トランスポーター1)に注力し、がんや自己免疫疾患において既存薬では対応できない患者様のニーズに応える新薬開発を推進しています。
ジェイファーマ株式会社の詳細は、当社ウェブサイトhttps://www.j-pharma.com/をご覧ください。
【本件に関するお問い合わせ先】
ジェイファーマ株式会社 企画部
TEL:03-6432-4270
https://www.j-pharma.com/contact/