アミノ酸トランスポーター-1(LAT1)を阻害する新規抗がん剤開発候補化合物に関するライセンス契約締結のお知らせ

2018年3月29日
ジェイファーマ株式会社

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当社は、国立大学法人大阪大学(本部:吹田市、学長:西尾章治郎、以下、「大阪大学」)、神戸天然物化学株式会社(本社:神戸市、社長:広瀬克利、以下、「神戸天然物化学」)との間で、このたび、大阪大学と神戸天然物化学とが共同で創製した、がん細胞に特異的に発現する L-アミノ酸トランスポーター-1(LAT1)の阻害剤に係わる特許について、再実施許諾権付独占的実施許諾契約を締結しましたのでお知らせします。
本契約に基づき、当社は、大阪大学および神戸天然物化学に、契約一時金、マイルストン及びロイヤリティを支払います。

LAT1 阻害剤は、がん細胞に特異的に発現するアミノ酸トランスポーターを阻害することで、がん細胞の増殖に必要な栄養素であるアミノ酸の供給を抑制することにより抗がん効果が得られることが立証されています。既存の抗がん剤とは異なる、新しい作用機序を有する分子標的治療薬であり、副作用も低く、既存の抗がん剤では有効性を示さない患者に対する効果が期待されるだけでなく、既存の抗がん剤との併用による相乗効果も期待されています。

本研究では、医薬基盤研究所先駆的医薬品・医療機器研究発掘支援事業、さらに文部科学省及び国立研究開発法人日本医療研究開発機構(以下、「AMED」)橋渡し研究加速ネットワークプログラムシーズ A 及びシーズ B、AMED 次世代がん医療創生研究事業の支援を受けて非臨床試験の実施及び化合物製法の確立を行いました。
さらに、当社と大阪大学は、AMED 橋渡し研究戦略的推進プログラムシーズ C として、本契約の対象となる LAT1 阻害剤の医師主導治験を来年度開始する予定です。

以上

本件に関する問合せ先
ジェイファーマ株式会社管理部(村上)
TEL:045-506-1155 jph-admin@j-pharma.com
大阪大学大学院医学系研究科薬理学講座
TEL:06-6879-3520 E-Mail:ykanai@pharma1.med.osaka-u.ac.jp
神戸天然物化学株式会社経営企画室
TEL:078-993-2203 お問い合せフォーム
https://www.kncweb.co.jp/inquiry/input_ir.html

●ご参考(用語解説)
ジェイファーマ株式会社について:
元杏林大学医学部教授遠藤仁により、2005 年 12 月にトランスポーターを標的とした創薬、診断薬の開発を目的に設立された。現在 LAT1 を標的とした抗がん剤 JPH203 の開発を進めている他、尿酸トランスポーターを標的とした高尿酸血症治療薬のパイプラインを保有している。

アミノ酸トランスポーターLAT1:
アミノ酸トランスポーターは栄養トランスポーターとして正常細胞にも存在するが、LAT1は腫瘍細胞に選択的かつ高発現するアミノ酸トランスポーターであり、多くの必須アミノ酸を含む大型側鎖を持つ中性アミノ酸を輸送する。大腸がん、肺がん、前立腺がん、胃がん、乳がん、すい臓がん、腎臓がん、喉頭がん、食道がん、脳腫瘍などの多くのがんで発現が上昇し、すい臓がんをはじめとする多くのがんで LAT1 の高発現群は予後不良であることが報告されている。