ASCO開催期間中に、治験責任医師候補者を対象にBREAKFAST MEETINGを開催~進行性胆道がんを対象にしたLAT1阻害剤「ナンブランラト」の米国第Ⅲ相臨床試験スタートへの第一歩~

2025年6月10日
ジェイファーマ株式会社

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当社は、開発中の新規抗がん剤「ナンブランラト」について、2025年6月1日(日)(現地時間)、米国シカゴで開催されたASCO 2025(米国臨床腫瘍学会年次総会)の期間中、進行性胆道がんを対象にしたL-タイプアミノ酸トランスポーター1(LAT1)阻害剤 「ナンブランラト」の米国第Ⅲ相臨床試験の開始に向けた最初のステップとして、治験責任医師候補者を対象にしたBreakfast Meetingを開催いたしましたことをお知らせいたします。

会議には、米国の主要医療機関から治験責任医師候補者及び開発業務受託機関(Contract Research Organization)を含め20名が参加し、Protocol Review、試験開始までのスケジュールなどについて活発な質疑応答が行われました。

また、日本からは、当社が日本国内で実施した第Ⅱ相臨床試験において中心的役割を担われた神奈川県立がんセンター 総長 古瀬純司医師が、アドバイザーとして出席され、日本での試験結果をもとに貴重な知見を提供いただきました。

Breakfast Meetingでの活発な議論の様子

■ 古瀬純司 医師(神奈川県立がんセンター 総長)のコメント:
「ナンブランラト(JPH203)はがん細胞へのアミノ酸の取り込みを阻害するというこれまでにない薬物であり、臨床導入が期待されています。我々が行った第I相試験において胆道癌で効果が期待される結果が得られ、適応となる薬剤がない進行胆道癌患者さんを対象としたランダム化第II相試験でも有効性が示唆されています。今回、全生存期間を評価する検証試験が米国でスタートし、日本もあとから参加する予定です。JPH203の第I相試験の登録開始から11年、いよいよゴールが見えてきました。胆道癌治療の歴史にナンブランラトが新たに刻まれ、がん患者さんの予後の改善に大きく寄与できることを期待し、願っています。」

■ 代表取締役社長 吉武益広のコメント:
「日本発のバイオベンチャーが、海外での大規模臨床試験を単独でここまで推進してこられたことは、私たちにとって大きな挑戦であり、同時に誇りでもあります。この道のりを共に支えてくださった医療従事者、患者様、本プロジェクトに関わってくださったすべての方々、日々たゆまず努力を重ねてきた社員の皆様、そして長期的な視点で私たちの志に共感し、支えてくださったステークホルダーの皆様に、心より感謝申し上げます。私たちは、2030年のグローバル承認を目指し第Ⅲ相臨床試の成功に向けて、着実に臨床開発を進めてまいります。」

(参考)
【ナンブランラトについて】
ナンブランラトは、ジェイファーマ社が独自に見出した選択的にLAT1を阻害する新規の低分子化合物です。ジェイファーマ社は2015年から複数の固形癌を対象に臨床第Ⅰ相試験を行い胆道癌への可能性を見出し、2018年から3年半の時間を費やし、進行性胆道癌を対象とした国内第II相試験を実施し、単剤で有用な臨床効果を示すことを明らかにしました。ナンブランラトは、LAT1を標的とし臨床開発を進めている世界初の化合物であり、医薬品の承認を取得すれば、ファースト・イン・クラス(疾患に対して新しい作用機序で初めて承認に至る医薬品)の新薬となります。ナンブランラトは2022年4月に米国食品医薬品局(FDA)からオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)に指定され、臨床開発プログラムへの助言相談、臨床試験費用の一部税額控除、申請費用の免除、米国における7年間の独占販売権付与などの優遇処置を受けることができます。2024年9月25日付けで、FDAより、ナンブランラトのがん患者における臨床試験に対するInvestigational New Drug(IND)申請が承認され、2025年度の第Ⅲ相臨床試験の実施に向け、引き続き、FDAと協議を行っています。

*ナンブランラト国内第II相試験の結果に関する論文
Furuse et al. A Phase II Placebo-Controlled Study of the Effect and Safety of Nanvuranlat in Patients with Advanced Biliary Tract Cancers Previously Treated by Systemic Chemotherapy. Clin Cancer Res. 2024; 30(18):3990-3995.

【ジェイファーマ株式会社について】
ジェイファーマ株式会社は、「SLCトランスポーターの新たな可能性を追求し、アンメット・メディカル・ニーズに応える革新的新薬の開発を通じて、世界中の人々が健康を維持し、希望を持ち続けることに貢献する」を企業理念としています。この理念のもと、SLCトランスポーターのひとつで創業者が発見したLAT1(L型アミノ酸トランスポーター1)に注力し、がんや自己免疫疾患において既存薬では対応できない患者様のニーズに対応しうるLAT1阻害剤の開発を進めております。現在、臨床開発中のLAT1阻害剤「ナンブランラト」や「JPH034」に加え、新たな候補化合物の研究も進行中です。
ジェイファーマ株式会社の詳細情報は、https://www.j-pharma.com/をご覧ください。

【本件に関するお問合せ先】
ジェイファーマ株式会社 担当 管理部・広報
TEL:03-6432-4270
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