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  • 2023.06.05

    LAT1阻害剤ナンブランラト(開発コード:JPH203): LAT1高発現の胆道がん、肝外胆管がん・胆嚢がんに対して特に顕著な改善を示す

    2023年6月5日

    1. ジェイファーマ株式会社

    LAT1阻害剤ナンブランラト(開発コード:JPH203):
    LAT1高発現の胆道がん、肝外胆管がん・胆嚢がんに対して特に顕著な改善を示す

    概要:
    進行性・難治性胆道がんに対し、ナンブランラト投与群(69例)のPFSは、プラセボ群(35例)と比較して統計学的に有意な改善を示したことから、本試験は主要評価項目を達成しました(ハザード比 0.56、95%信頼区間 0.34-0.90、p = 0.016)。薬物有害反応(副作用)はナンブランラトが41.4%、プラセボが57.1%、グレード3以上の有害事象はナンブランラトが30.0%、プラセボが22.9%でしたが、投与の中止/減量や死亡につながる事象はありませんでした。
     事前に定義したサブグループ解析で、LAT1高発現の胆道がん患者(ナンブランラト群:47例、プラセボ群:18例)におけるナンブランラトのPFSは、プラセボ群と比較して特により有意な改善を示しました(ハザード比 0.44、95%信頼区間 0.23-0.85、p = 0.01)。
     ナンブランラト投与群全体のOSは優位な延長を示しませんでしたが、LAT1高発現の胆道がんグループにおけるOSはより延長を示しました。
     病勢コントロールした患者は、ナンブランラトで17例(24.6%)、プラセボでは4例(11.4%)でした。ランブランラトで病勢をコントロールしたうち、LAT1高発現の胆道がんグループは11例(11/17)でした。このことから、ナンブランラトは予後が悪いといわれているLAT1高発現の胆道がん患者でより臨床的に有用であることが示唆されました。
     PFSのフォレスト・プロットによるサブグループの解析では、4つの胆道がんのサブタイプのうち肝外胆管がんと胆嚢がんで有用性が示唆され、両がん種が発生学的にも、遺伝子転移パターンも類似していることから、両群を合わせて探索的に解析した(ナンブランラト群31例、プラセボ群14例)。その結果、PFSはプラセボ群と比較してより有意な改善を示しました(ハザード比 0.22、95%信頼区間 0.10-0.49、p <0.001)。
     以上の結果をまとめると、本試験のサブグループ解析において、ナンブランラトは、プラセボと比較してLAT1高発現の胆道がん、あるいは肝外胆管がん・胆嚢がんのPFSとOSでさらなる改善を示しました。副作用はプラセボと同等でした。このことから、ナンブランラトは、これらの胆道がんに対して、二次療法以降の治療選択肢のひとつになることが示唆されました。

    ジェイファーマ株式会社(本社:神奈川県横浜市、代表取締役社長:吉武益広)は、L-タイプアミノ酸トランスポーター1(LAT1)を標的として当社が独自に創製した新規の低分子化合物である「ナンブランラト(開発コード:JPH203)」の進行性・難治性胆道がんを対象とした国内第II相試験(以下、本試験)のサブグループ解析の成績について、米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual meeting)のClinical Science Symposiumで口頭発表(米国中部時間2023年6月4日16時30分から18時)されたことをお知らせいたします。

    2023年1月20日(金)に開催された米国臨床腫瘍学会消化器がんシンポジウム(Gastrointestinal Cancers Symposium : ASCO GI 2023)では、ナンブランラトが前治療歴のある進行性・難治性胆道がん患者に対して、主要評価項目(無増悪生存期間:PFS)で、統計学的に有意な改善と良好な安全性プロファイルを示したことを口頭発表しました。今回の発表では、サブグループであるLAT1高発現の胆道がん、肝外胆管がん・胆嚢がん対して解析を行ったところ、ナンブランラト投与群は、さらに優位な改善と良好な安全性のプロファイルを示したことを報告しました。

    <発表内容>
     タイトル:
    Subgroup analysis of double-blind, placebo-controlled Ph. 2 study of nanvuranlat in treatment of pre-treated, advanced, refractory biliary tract cancer (BTC): Patients with high LAT1 expression and response to nanvuranlat. (抄録番号:4011)

     演者:
    独立行政法人国立がん研究センター東病院 肝胆膵内科 科長 池田公史

    2023 ASCO Annual meeting Clinical Science Symposium
    池田公史医師による口頭発表
    開催地:シカゴ 現地時間:6月4日 午後5時18分~午後5時30分

    独立行政法人国立がん研究センター東病院 肝胆膵内科 科長 池田公史先生は、「LAT1の阻害剤であるナンブランラトは、これまでの抗がん剤とは異なる機序で抗腫瘍効果を発揮する新しい薬剤です。標準治療に不応/不耐の進行胆道癌患者を対象として、ナンブランラトとプラセボを比較したランダム化第2相試験において良好な治療効果が示されました。その中でもLAT1が高発現している患者において、無増悪生存期間、病勢制御、全生存期間がLAT1低発現の患者と比べて良好であることが示され、その作用機序を裏付ける解析結果でした。臨床結果からもナンブランラトの作用機序をきちんと証明できたことは、類を見ないことであり、これからの開発に弾みがつくものと思います」と述べています。

    当社代表取締役社長の吉武益広は、「本試験結果に基づき、進行性の難治性胆道癌患者へ本剤を速やかに提供できるよう、国内承認申請、さらに米国承認申請に向けた準備を進めて参ります。本試験結果により、治療選択の極めて少ない胆道癌患者さんに新たな治療選択になるものと期待をし、本研究へ参加くださった患者様、医療関係者の皆様に感謝します」と述べています。

    以上

    【本件に関するお問合せ先】
    ジェイファーマ株式会社 担当 管理部・広報
    TEL:045-506-1155
    Mail:info@j-pharma.com
    PR窓口:合同会社マッシュ 担当 新野
    TEL:080-3012-7306
    Mail:niino@masc-mn.com

    <参考資料>
     LAT1について
     弊社創業者の遠藤仁医師が1998年に世界に先駆け発見したLAT1(遺伝子コード: SLC7A5 )は、細胞ががん化し急激に増殖しようとするときに細胞膜での発現が亢進しエネルギー源であるアミノ酸を盛んに取り込むことで爆発的な細胞増殖を起こす1。
     LAT1は、近年科学的な解明が進み、LAT1の複雑な分子構造が最近報告され、がん治療において薬物標的として注目を集めてきている2。
     LAT1高発現のがん患者は、LAT1低発現のがん患者に比べ予後が悪いことが報告されている3。

    1Häfliger P, et al. Int J Mol Sci 2019; 2Kanai Y. Pharmacol Ther 2022; 3Otani R, et al. Cancers (Basel) 2023

     ナンブランラトについて
    ナンブランラトは、当社が独自に見出した選択的にLAT1を阻害する新規の低分子化合物です。当社は2015年から複数の固形癌を対象に臨床第Ⅰ相試験を行い胆道がんへの可能性を見出し、2018年から3年半の時間を費やし本試験を遂行してきました。LAT1を標的とし臨床開発を進めている世界初の化合物であり、医薬品の承認を取得すれば、ファースト・イン・クラスの新薬となります。なお、ナンブランラトは2022年4月に米国食品医薬品局(FDA)からオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)に指定され、臨床開発プログラムへの助言相談、臨床試験費用の一部税額控除、申請費用の免除、米国における7年間の独占販売権付与などの優遇処置を受けることができます。

     胆道がんとは
    胆道がんは、胆道にできる癌の総称で、発生した部位によって、肝内胆管がん、肝外胆管がん、胆嚢がん、十二指腸乳頭部がんに分類されます。肝外胆管がんはさらに肝門部領域胆管がんと遠位胆管癌がんに分類されます。胆道がんは、病期が初期である場合は検診等の検査にて見つかることがありますが無症状で経過することが多く、病気が進行すると、症状として黄疸、右わき腹の痛み、体重減少などを呈し、その状態となってから診断に至ることが多いがんです。国立がん研究センターのがん統計では、胆嚢・胆管がんの患者数は22,159人(2019年)と全癌種中16位です。一方で、死亡数は18,172人(2021年)、5年相対生存率(2009年~2011年地域がん登録生存率データ)は24.5%と低く予後が極めて悪いがんです。院内がん登録全国集計(2020年)では、胆嚢・胆管がんの胆道がんの登録数18,750例のうち、診断時の年齢は65歳以上が88%、75歳以上が60%を占め、高年齢で診断されています。また、胆嚢がんにおけるTNM分類総合ステージⅣ期の割合は45.1%と非常に高く、ステージⅣ期で手術や薬物治療などの治療が施されない割合が42.4%と半数近くを占めています。胆道がんの根治的治療法は外科切除よる病巣の切除です。外科手術の適応とならない切除の困難な胆道がんは、化学療法が行われます。日本において、ゲムシタビン及びシスプラチンとの併用(GC)、ゲムシタビン及びテガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤(S-1)との併用治療(GS)、GC及びS-1の併用療法(GCS)が標準治療法となっています。これら標準療法(GC、GS又はGCS)に耐性になると、現状では確立された2次療法はありません。近年、本邦ではチロシンキナーゼ活性阻害薬であるペミガチニブが「がん化学療法後に増悪したFGFR2融合遺伝子陽性の治癒切除不能な胆道癌」を対象として、2021年3月に承認されています。免疫チェックポイント阻害薬のデュルバルマブは化学療法との併用療法による「治癒切除不能な胆道癌」に対し2022年12月に承認されています。

     本試験について
    前治療歴のある進行性・難治性胆道がん患者に対するナンブランラトの無作為化、二重盲検、プラセボ対照の第Ⅱ相試験。国内14施設が参加し、211名の患者から同意を得て、薬剤代謝酵素(NAT2)の多型をもとに患者を層別し、104名の患者(ナンブランラト:69名、プラセボ:35名)が登録されました。本試験は胆道がんの4つの異なるサブタイプ(肝内胆管がん、肝外胆管がん、胆嚢がん、十二指腸乳頭部がん)の症例が登録され、83%の患者が標準的な化学療法および他の治験薬2剤以上に不耐性となった進行性の胆道癌でした。主要評価項目は、固形がんの治療効果判定のための新ガイドライン(RECIST 1.1)に基づき盲検下独立中央判定(BICR)によって評価された無増悪生存期間(Progression-Free Survival。以下、PFS)でした。主な副次評価項目としては、全生存期間(OS)、病勢コントロール率(DCR:CR+PR+SD)でした。

    【本件に関するお問合せ先】
    ジェイファーマ株式会社 担当 管理部・広報
    TEL:045-506-1155
    Mail:info@j-pharma.com
    PR窓口:合同会社マッシュ 担当 新野
    TEL:080-3012-7306
    Mail:niino@masc-mn.com

     

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