• Science
  • サイエンス
Solute Carrier (SLC) トランスポーター・スーパーファミリー
不治の病に希望をもたらす未開拓の創薬標的

創薬標的として未開拓の
SLCトランスポーター

米国FDAが承認した医薬品を調べると 667の遺伝子が創薬標的となっていることが報告されています(2017年)。
それらの創薬標的の内訳をみると、受容体(G protein-coupled receptor :GPCRs)が12%、イオンチャネルが19%、キナーゼが10%、SLCトランスポーターが3%、その他が56%となっています。
SLCトランスポーターを標的とした医薬品で承認を取得しているのは13品のみで、現在、新規SLCトランスポーターを創薬標的として臨床開発が進行しているものも10品目のみとなっています。

最近までSLCトランスポーターが
創薬標的にならなかった理由

実はSLCトランスポーター・スーパーファミリーは、既に400種類以上が報告されています。
それにもかかわらず、なぜSLCトランスポーターを標的とした医薬品はあまり開発されなかったのでしょうか?
その理由はSLCトランスポーターが多種多様な機能を持ち複雑な分子構造をしており、そのほとんどが最近まで明らかになっていなかったためです。
しかし、近年の科学の進歩により、隠されていたSLCトランスポーターの機能の解明が急速に進み、特にアミノ酸トランスポーター(LAT1/SLC7A5) の解明が進んできたのです。1)2)

創薬標的として注目されるアミノ酸トランスポーター LAT1 (SLC7A5)とは

トランスポーターは生体に必要なさまざまな反応を媒介しており、細胞に必要な栄養素を取り込みます。
アミノ酸を輸送するトランスポーターであるアミノ酸トランスポーターはこれまでに50種類以上発見されていますが、細胞ががん化したり、細胞が急激に増殖しようとするときに細胞膜でのLAT1 (SLC7A5)の発現が亢進し、アミノ酸を盛んに取り込むことで爆発的な細胞増殖を起こします。
一方でLAT2は正常細胞に発現し、LAT1 (SLC7A5)より遅い速度でアミノ酸を取り込むことで緩やかな細胞分裂に寄与します。当社はこの点に注目し、LAT1 (SLC7A5)のみを選択的に阻害する低分子化合物のJPH203を開発しました。下図のようにJPH203はがん細胞においてLAT1 (SLC7A5)を介したアミノ酸取り込みを阻害し、がん細胞を細胞死に追い込みますが、一方で正常細胞に発現するLAT2は阻害しません。当社では副作用の少ない抗がん薬となることを目指して、有効な治療法の少ない胆道がんに対してJPH203の臨床試験を進めています。
加えて、JPH203とは異なる構造のLAT1 (SLC7A5)阻害剤であるOKY-034を大阪大学より導入し、すい臓がんに対する臨床試験を進めています。

LAT1 (SLC7A5)はここ最近科学的な解明が進んでおり、LAT1 (SLC7A5)の構造が報告されたばかりです。
また、LAT1はがん細胞だけでなく、免疫細胞等の増殖が盛んな細胞での発現が確認されています。
特に、関節リウマチ3)、1型糖尿病4)、多発性硬化症5)等に代表される自己免疫疾患においてLAT1が重要な役割を果たすことが近年多数報告されるようになりました。当社ではLAT1阻害剤の次なる標的として自己免疫疾患への応用を進めています。

1) Nat Struct Mol Biol. 2019;26:510–7.
2) Nature 2019; 568:127-130.
3) Front Immunol. 2018;9:53
4) J Physiol 2007;581(Pt 3):1323-32
5) WO2020072608A1
トランスポーター

LAT1(SLC7A5) 阻害

アミノ酸トランスポーター LAT1 (SLC7A5) はジェイファーマが発祥

最近になり創薬標的として脚光を浴び始めたアミノ酸トランスポーターLAT1 (SLC7A5)ですが、実はこのトランスポーターを発見したのはジェイファーマの創設者である遠藤仁1)なのです。
遠藤は、大阪大学医学部の金井教授2)とともに世界におけるトランスポーター研究者のパイオニアとして長年共同研究を続け、LAT1/SLC7A5以外にも、生体において重要な役割を持つ新規のトランスポーターを13種類3)発見しました。
現在ジェイファーマは、LAT1(SLC7A5)を標的とする、全く異なる構造式を有する2種類の新薬について臨床開発を進めています。LAT1(SLC7A5)を標的とする新薬開発において、当社は世界の最先端を走っていますが、その背景には、遠藤と金井教授の長年に渡る共同研究によって培われたトランポーターに関する深いサイエンスがあったのです。

1) 東京大学医学部助教授を経てその後杏林大学教授
2) 金井教授は現在ジェイファーマの科学諮問委員会の委員長を務める
3) LAT1、Human LAT1、LAT2、LAT3、ASCT2、TAT1等のアミノ酸トランポーターに加えて、SGLT2、OAT1、OAT2、OAT3、OAT4、CT2、URAT1等のグルコース排泄トランスポーターや、尿酸排泄トランスポーターも含まれる。
なお、 SGLT2 とURAT1は医薬品の分子標的として既に新薬が創生されている。
特にSGLT2を標的とした新薬は糖尿病薬として革新的であったことから、金井教授は2019年にSGLT2に関して内閣総理大臣賞を受賞している

アカデミア発ベンチャーから、
自社で世界展開を行う
日本発のBiopharmaceutical companyへ

遠藤と金井教授による世界最先端のアカデミア研究から始まったジェイファーマでしたが、いままさに飛躍のときを迎えています。2018年の12月に、長年日本の大手製薬会社で経営陣として、
研究開発、事業開発、販売戦略と広範に経験した吉武が社長に就任すると、当社の開発パイプラインの開発及び事業開発は一層加速し、JPH203の胆道がんの適応に関して、
2019年の4月に日本・アジア・アフリカの数か国に関して大原薬品工業株式会社とのライセンス契約も成功させました(欧米の権利は引き続きジェイファーマが保有)。
その後当社は、JPH203に関して適切な投与対象を層別するコンパニオン診断薬も見出しました。
そして製薬企業で行われるような緻密な事業性予測や予実管理にも着手し、その結果として着実に資金調達も成し遂げています。今後当社は、日本を代表するBiopharmaceutical companyとなることを目指して、主に米国をはじめとする海外に自社で進出し、開発を進めていきます。

COPYRIGHT ©
J PHARMA.CO.,LTD
ALL RIGHTS RESERVED