その他の開発パイプライン
その他の臨床開発

当社は現在、ナンブランラトの胆道がん2次療法(単剤療法)および1次療法(ICIとの併用療法)、JPH034の再発を伴わない2次性進行型多発性硬化症を重点的に開発しています。これに加えて、KRAS変異大腸がん(ナンブランラト)およびグリオーマ(JPH034)についても開発を進めてまいります。

ナンブランラトは、非臨床および臨床データに基づき、大腸がんに対する適応拡大の可能性が示されています。特に、転移性大腸がんの約40%を占めるKRAS変異型では既存薬の効果が限定的である一方、LAT1の高発現が患者予後不良と強く関連する臨床データが報告されています。また、ナンブランラトがKRAS変異大腸がん細胞株において有意な増殖抑制効果を示す非臨床試験結果も公表されています。さらに、複数の固形がんを対象とした第1相臨床試験では、大腸がん患者6例中2例で「安定(SD)」が確認されており、今後の臨床開発に向けて有望な兆候が得られています。このように当社としてもKRAS変異大腸がんに対するナンブランラトの開発可能性を見出していたところ、米国の大学より共同開発の提案を受け、現在は同大学にて医師主導臨床試験の開始に向けた補助金申請しております。

一方、グリオーマについては、米国の大規模研究機関からの提案を受け、グリオーマにおけるLAT1関与の複数の報告およびJPH034の高い脳内移行性を根拠に開発に着手しました。現在は、当該研究機関に対して当社開発品を提供し、前臨床段階での検討が進行中です。

当社は、胆道がん2次・1次療法および再発を伴わない2次性進行型多発性硬化症を最優先とし、それ以外の臨床開発については資金状況やコストを踏まえ、適切なリスク管理のもとで段階的に推進してまいります。

希少疾患を対象とする非臨床試験

一部のアミノ酸代謝性希少疾患は、LAT1を含むSLCファミリーのアミノ酸トランスポーター異常によって発症し、腸管・腎臓・肝臓におけるアミノ酸輸送機能の障害が主な病態要因とされています。

当社は、ナンブランラトが肝臓・胆管・大腸などに高濃度で分布する独自のバイオディストリビューションに着目し、ある希少疾患の動物モデルにおいて有効性を示唆する結果を得ました。この成果を踏まえ、当該適応症に関する用途特許を申請中であり、ナンブランラトの適応拡大に向けた新たな可能性を追求しています。