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基盤技術トランスポーターと創薬
1.トランスポーターとは
人体は数十兆個に及ぶ細胞により構成されています。その一つの細胞の模式図を図‐1. a)に示します。細胞の内外を仕切る細胞膜には、受容体・チャネル・トランスポーターの主要な3種類の膜タンパク質が存在し、細胞の機能を維持しています。細胞膜の一部を拡大してこれら3種の膜タンパク質の構造と機能の違いを図‐1. b)に示しました。細胞内外の物質の輸送に関与するのはチャネルとトランスポーターで、前者は開閉で制御されるのに対して後者は「物質の結合→膜内移動→他側への放出」を繰り返す興味深い機能を有します。

図‐1. a)細胞膜の3種の膜タンパク質

図‐1. b)細胞膜に存在する主要な3種の膜タンパク質

図‐2に細胞膜の拡大模式図を示します。膜は脂質二重層で出来ておりますので、疎水性の物質は図-2の上のように細胞膜を通過できますが、親水性の物質は通過できません。しかし、図-2の下のような通路が存在しますと、通過が可能となります。この通路に当たる膜タンパク質の構造物をトランスポーターと呼びます。分子構造が不明であったプレゲノム時代には「輸送体」とか「キャリア蛋白」と呼ばれていました。現在、これらはゲノム解読により、タンパク質の一次構造が明らかになりました。英語では‘transporter’、日本語はその発音通りに、‘トランスポーター’と呼んでおります。

図‐2 細胞膜を介する二つの物質透過の模式図 単純拡散とトランスポーターを介する促進拡散

トランスポーターを用いて糖やアミノ酸など数多くの親水性栄養素やビタミン類は、細胞の外から細胞内に輸送されます。逆に細胞内から細胞外へは水溶性の細胞内代謝産物(老廃物)が排出されます。トランスポーターにより輸送される基質と呼ばれる物質の選別は図‐3に示すように厳密な選択と大まかな選択の二種類があります。前者は生体必須物質トランスポーター、後者は有機イオン(薬物や異物などの外来性物質を含む)トランスポーターと呼んでおります。

図‐3 生体必須物質トランスポーターと有機イオントランスポーター

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2.トランスポーターの種類
ヒトゲノム解読の成果を受け、国際命名委員会はヒトのトランスポーターを、次の二つのスーパーファミリー(Ⅰ、Ⅱ)と更にそれぞれを幾つかのファミリーに分類しております。

I. SLC (Solute carrier transporter)トランスポータースーパーファミリー
52ファミリー、約380分子種が存在しております。当社ではこの表中の破線部分を主な研究対象としております。
表‐3-1 SLCスーパーファミリー

詳細:http://www.bioparadigms.org/slc/menu.asp, http://www.genenames.org/
Ⅱ. ABC (ATP‐binding cassette transporter)トランスポータースーパーファミリー
物質輸送の駆動力として、アデノシン三リン酸(ATP)を用いるタイプのトランスポーターで、現時点で7ファミリー、49分子種が明らかにされております。
表‐3-2 ABCスーパーファミリー

詳細:http://nutrigene.4t.com/humanabc.htm, http://www.genenames.org/

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3.トランスポーター創薬の優位性
トランスポーターは細胞膜に存在するので、それを分子標的として開発される新医薬品には、次のような優位性があります。

○多くの既存医薬品は、細胞内に取り込まれてから作用いたします。一方で、トランスポーターを標的とすることは、血中から
 組織液を介して細胞外から分子標的に直接作用することとなり、薬剤自体が細胞膜を通過することなく作用をもたらします。
○作用部位の薬物濃度を、明確に血中濃度として調節できる優位性があります。
○トランスポーター標的医薬品は、他の既存医薬品ほど検討し尽されてはいない未開拓(未成熟)領域であり、
 発展が大いに期待される研究開発領域です。

受容体やチャンネルを標的とすることも、細胞膜上の分子標的であるという点において、同様の優位性を有しておりますが、これらは研究開発の歴史が長く、既に数多くの医薬品が開発されて、臨床に適用されています(成熟領域)。 表―5にも示されておりますように、これまでの医薬品が対象としておりました酵素や受容体に比べて、今後の薬剤開発標的として発展の可能性があると考えられております。
表‐5 トランスポーターと創薬の可能性

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